診察医師
河村 美巴子(神経内科専門医)
パーキンソン病とは
中脳黒質にあるドーパミンを作る神経細胞が変性して、ドーパミンが不足する病気です。 多くは孤発性ではっきりした原因はまだわかっていませんが、遺伝的素因と環境因子によりミトコンドリアの障害がおきるという仮説が有力です。 有病率は1000人に1.6人と変性疾患としてはアルツハイマー病に次いで二番目に多い疾患です。
症状
片側の手の震えやこわばり、動作が鈍い、歩幅がせまくなった、バランスが悪いなどの初発症状が見られ、これらは四大症候(安静時振戦、固縮、動作緩慢、姿勢反射障害)と言われます。病初期は左右差があるのが特徴で、年単位のゆるやかな進行で両側に広がっていきます。またこれらの症状が出現する前から、嗅覚低下や便秘や夜驚症などの症状も出現することがあります。
治療
現在の治療法はすべて対症療法で不足したドーパミンを補う内服治療が主です。 残念ながら神経変性を抑制する治療はまだありません。
パーキンソン病は緩徐に進行する疾患で病期を初期、中期、後期にわけられます。 初期は内服による治療効果が高く、コントロールが良い状態です。 内服治療によりこの期間をできるだけ長く保てるように治療していきます。
中期は内服による効果が低下し、幻覚、Wearing off(薬が効いている時間が短くなる)、On-Off(突然薬の効果がきれる)、ジスキネジア(不随意運動)、すくみ足、腰曲り、首下がりなどの合併症が出現してきます。これらの合併症も内服の変更などにより軽減することができます。Wearing Offやジスキネジアが顕著な場合はDBS(脳深部刺激療法)の適応も考慮されます。DBS治療後は内服を減量することが可能です。また非運動症状としては自律神経障害(便秘、頻尿)、睡眠障害、感情の変化(うつ)、認知機能障害なども出現することがあります。
後期は内服の効果が乏しくなる時期で、リハビリを中心に治療を行います。 パーキンソン病ではそれぞれの病期と症状にあった治療をすることが重要で、内服調整とDBSなどの外科治療も合わせれば良好にコントロールでき症状の進行を遅らせることが可能です。 さらに最近ではドーパミン神経細胞に分化したiPS細胞を黒質への移植する臨床治験(京都大学)やHAL(電気信号を用いて身体機能を改善するサイボーグ型ロボット)の臨床治験(筑波大学)なども進められ期待されています。
当院ではパーキンソン病とパーキンソン症候群(レビー小体型認知症、多系統萎縮症、大脳基底核変性症、前頭側頭葉型認知症、正常圧水頭症、脳血管性など)の内服治療を神経内科専門医が行っています。またリハビリや歩行支援ロボット(TOYOTA と藤田保健衛生大学の共同開発、今秋導入予定)なども利用を検討出来ます。 DBS治療の手術は他施設に紹介しております。術後の電流調整は当院で可能です。
完全予約制ですのでお電話でご予約をお願いいたします。お気軽にご相談ください。
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